田中角栄はどうして国交回復を成し遂げることができたのか。それは当時の国際情勢の後押しがあったからである。中国は1969年中ソ国境でソ連と軍事衝突し、中ソ対立は抜き差しならない危機的状況になっていた。国内に目を向ければ、中国共産党は権力闘争に明け暮れ、その影響で経済は破綻していた。
他方、アメリカはベトナム戦争の泥濘に足を取られている。いまや中国にとって最大の脅威はソ連となった。ここに米中接近の余地があった。1971年7月、キッシンジャー大統領補佐官の極秘訪中によって、ニクソン大統領の訪中が発表された。世にいう「ニクソンショック」である。
アメリカが中国と接近するならば、対米追随の日本も国交回復が可能である。中国にとっても、国内経済を再建するためには日本の経済力は魅力であった。事実、国交回復後、日本は積極的に経済支援を行った。しかし、このときの首相が田中角栄であったからこそ、国交回復が早期に実現したのであろう。