Q.ABC予想に関して、現状で、
証明できたと主張する望月新一と
証明になっていないと主張するペーター・ショルツェの
どちらに分があるか?

A.結論から言うと、
2026年現在の数学界の評価という意味では、
ショルツェ側にかなり分があります。
ただし、「ショルツェが望月氏の理論の誤りを完全に証明した」
という意味ではありません。より正確には、

「望月氏のIUTによるABC予想の証明は、
現時点では数学界で確立した証明とは認められていない」

という判断が最も妥当です。

なぜショルツェ側に分があるのか
最大のポイントは、単なる「難しくて読めない」という話ではなく、
証明の特定箇所について具体的な論理的異議が提示されていることです。

ショルツェとヤコブ・スティックスは2018年、京都で
望月氏・星裕一郎氏と1週間にわたり直接議論した後、
「ABC予想の証明にはならない」とする詳細な報告を書きました。

特に問題視したのが、IUT論文IIIのCorollary 3.12です。
彼らの主張では、ここに重大な推論上のギャップがあり、
単なる細部の修正では救えないとしています。

争点を非常に乱暴に単純化すると、

望月氏:
「異なる“宇宙”に置かれた数学的対象を、単純に同一視してはいけない。
異なるコピーの間の関係そのものがIUTの核心である」
ショルツェ/スティックス:
「その区別を維持したままでは、必要な不等式を導く推論が成立していない」
という対立です。

望月氏は逆に、ショルツェらがIUTの数学的構造を誤解しており、
彼らの議論は「根本的な誤解」に基づくものだと反論しています。
したがって、「望月氏が反論していない」のではなく、
両者が同じ箇所を見て正反対の数学的解釈をしているのが実態です。