”高市総理の「戦略なき言動」と安倍総理の「戦略的外交」の決定的な違い
垂 秀夫: 立命館大学教授”

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高市総理の「戦略なき言動」と安倍総理の「戦略的外交」の決定的な違い
垂 秀夫: 立命館大学教授
2026年8月19日

高市首相の発言で問われたのは
「内容」より「戦略」だった

 2025年11月、国会において立憲民主党議員(当時)の岡田克也元外相が提示した「海上封鎖を含むシナリオ」に関する質問に対し、高市首相は「戦艦を使った武力行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と答弁した。この答弁が引き金となり、日中関係は急速に緊張し、外交空間は一気に狭まった。

 発言内容そのものは、日米関係を考慮しても、存立危機事態についての法的整理としても、また安全保障上も誤ってはいない。しかし、首相という立場で、国会という公開の場でこの発言を行うにあたり、事前に十分な戦略的配慮がなされていたかどうかが問われる。もしそうでないのであれば、結果として、戦略なき言動が、いかに容易に国家の外交的立場を揺るがすかを示す典型例となってしまったと言わざるを得ない。

 そもそも高市首相は、中国側からは就任前より「保守・親台・対中強硬派」と見られていたが、2025年10月に首相に就任した後は靖国神社参拝を封印し、所信表明演説では「戦略的互恵関係の包括的推進」に言及している。形式だけ見れば、第一次安倍晋三政権初期の対中対応と大きな違いはない。安倍首相も「保守・親台・対中強硬派」とみられたが、靖国神社参拝を行わず、戦略的互恵関係を提示して対中外交を“管理”することに成功した。


同じ「対中強硬派」でも、安倍氏と高市氏は何が違ったのか
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