<ご報告>
森重文先生「当時の京都大の数理解析研究所の中野茂男先生に広中先生の講義のノートを取るようにって言われて、ノートを取ったんですけど、それが2004年に「代数幾何学」というタイトルで、京都大学学術出版会から出版されました」
https://x.com/math_jin 2026/10/11
https://news.jp/i/1473910949667209469?c=39546741839462401
広中先生のおかげで代数幾何をやろうと思った  数学界のノーベル賞、続く日本人受賞者の森重文さんに聞く人物像とは…
2026/10/11 共同通信
広中平祐さんがこの3月に94歳で亡くなった
森重文 京大高等研 院長に話を聞いた(浅見英一)

▽絵で教える数学者
 Q 広中さんと森さんは20歳ぐらい年が離れている。最初の出会いは?
 A 1971年だったと思いますが、大学3年生のころ。70年にフィールズ賞を取られた後、71年の秋から京都大で講義をされていて、そのときに私は代数幾何の入門コースに出席していて先生の講義を受けました。それは非常に強く印象に残っています。非常に分かりやすい話で楽しく拝聴しました
 当時の京都大の数理解析研究所の中野茂男先生に広中先生の講義のノートを取るようにって言われて、ノートを取ったんですけど、それが2004年に「代数幾何学」というタイトルで、京都大学学術出版会から出版されました

 Q 講義録、広中さんは何と?
 A 「これはあかん」とはおっしゃらなかったと、はい。これは非常に分かりやすいと言えば分かりやすいけど、プロの数学者の目から見ると、歯ごたえのある内容ばかりではないかもしれません。でも初学者にとってはつまずくようなところをきちっと書いてあって、すごく良いです。いっぱい絵やイラストを入れて、視覚に訴えるというか、すごく分かりやすいと言ってくれた後輩もいます

 Q ノートを取っていて話をするということもありましたか?
 A 学生も教員も利用する食堂で、たまたまお会いできたことがありました。質問があったので「こういう質問があるんです」って言ったら、さらさらと絵を描かれて、その絵でなるほどと納得できて、それがすごく印象的な体験でしたね
 代数幾何っていうのは方程式の解を研究する学問で、方程式っていうのは変数が出てくるのでデジタルですよね。その解というのはある意味絵を描くことですのでアナログです。つまりアナログなものをデジタルで研究する学問とも言えます
 そのとき私が読んでいた参考書は文字式ばかりで、その意味でデジタルばかりでした。そこで絵でささっと教えてくださって「分かった」と思えたのはすごく貴重な体験でしたね
 当時まだ代数の研究はやろうと思っていましたけど、さらに絞り込んで代数幾何をやるかどうかはまだ迷ってました。この体験は代数幾何をやろうと思うことになった大事なきっかけの一つですね

 Q 絵が決め手になったということですか?
 A はい、もともと私はたぶん、絵から入るのが好きなんだと思います。性格的なものもあって、ちょうど合ってたのかなと

 Q 最後に会ったのはいつか
 A 2023年の夏に、五山の送り火を見に京都にいらっしゃいました。送り火を見るのにとても良い場所に部屋をお持ちなんですが、この先あまり見に来ることもないだろうなと思われたのかもしれません。お顔を拝見できてうれしかったです