>>269-270
ふっ
下記 ”いかろちゃん”
いいね 百回音読してねw(^^

https://zenn.dev/ikaro1192/books/b1e473a060e258
zenn 数学で読み解くHaskell——入門編 無料で読める本
いかろちゃん
博士(理学)。某社でインフラエンジニアやってます。2026.04.29に更新
https://zenn.dev/ikaro1192/books/b1e473a060e258/viewer/appendix_b_set
Chapter 19
付録B:集合論の補足——ZFC・NBG・Grothendieck宇宙

本付録は、本書を読むうえでの前提知識ではない。第3章の補足「『型=集合』の限界と圏論への橋渡し」、第9章の本文と補足「『対象の集まり』は集合とは限らない」などで、ZFC公理系・クラス・Russellのパラドックスといった用語が断片的に顔を出す。それらが気になった読者のために、集合論の公理的な扱いをまとめて解説する場としてこの付録を置いた。

本付録の構成は次の通りである。B.1 で素朴集合論の限界を Russellのパラドックスで確認し、B.2 で本書全体が暗黙に依拠する ZFC公理系 を一覧する。B.3 では本書本文で参照される公理だけを取り出して整理する。続く B.4 と B.5 は ZFC の枠組みでは扱いにくい「集合より大きな総体」をどう扱うかという問題に対する、二つの本格的な処方箋——NBG公理系 と Grothendieck宇宙——を紹介する。最後に B.6 で本書の立ち位置を明示する。

B.1 素朴集合論の限界

B.2 ZFC公理系の一覧

B.4 NBG公理系とクラス
ZFCにおけるクラスの位置付け
ZFCの言語には集合しか登場しない。その上で「すべての集合のクラス V」「順序数のクラス
Ord」と言うときの「クラス」は、論理式を略記するためのメタな概念にすぎない。たとえば「順序数のクラス」とは、論理式 Ord(x)(x は順序数である)の略記であって、ZFCの一階の対象ではない。
圏論で「圏 Set の対象全体は集合をなさない、クラスである」と述べるとき、ZFCの内側ではこの「クラス」を直接の量化対象にできない。

NBGの言語と固有クラス
NBGはこの不便を解消する。NBGの言語は二種類の対象——集合(set)とクラス(class)——を区別し、両者を一階の対象として扱う。クラスは集合を要素として含むことはあるが、自分自身が他のクラスの要素にはなれない。すなわち、すべての集合はクラスでもあるが、その逆は成り立たない。あるクラスのうち、いかなるクラスの要素にもならないもの——つまり集合ではないクラス——を固有クラス(proper class)と呼ぶ。「すべての集合のクラス」「すべての順序数のクラス」「圏 Set
の対象のクラス」はいずれも固有クラスの典型例である。固有クラスを集合の要素にしないという制約こそが、Russellのパラドックスを防ぐ仕掛けである。

ZFCとの関係:保存拡大
NBGはZFCの保存拡大(conservative extension)として知られている。すなわち、集合のみに関する命題に限れば、NBGで証明できる命題はZFCでも証明できる。両者は集合論の通常の数学的内容について同等の力を持ち、NBGはZFCに「クラスを一階で語る語彙」を加えた体系と見ればよい。

つづく