時枝正氏は、厳密にはハーバード大学の「正規の終身教授(Tenure-track/Tenured Professor)」ではなく、ハーバード大学のラドクリフ研究所(Radcliffe Institute for Advanced Study)のフェロー(Radcliffe Fellow)や、ケンブリッジ大学トリニティ・ホール(Trinity Hall)での要職などを経て、現在はスタンフォード大学の数学科教授を務めています。
時枝氏が異色の経歴からトップクラスの米英の大学・研究機関で教鞭をとるに至った背景には、以下のような特徴的な歩みと能力があります。
・極めてユニークな経歴:日本で画家(アーティスト)を目指したあと、フランスで古典文献学(ラテン語やギリシャ語など)を学び、一時は配管工なども経験しながら、プリンストン大学で純粋数学の博士号(PhD)を取得するという異色のルートを辿った。
・「おもちゃ」を使った数理物理・応用数学の独自性:身近にある紙や日用品、手作りの「おもちゃ」を使った実験やデモンストレーションを通じて、深遠な数学や物理学の現象を誰にでも驚きをもって伝えて研究するスタイルを確立した。
・圧倒的な普及(アウトリーチ)能力と国際的評価:数学の難解な理論をマジックのように見せる講義や、YouTube(Numberphileなど)や国際数学者会議(ICM)での講演などを通じて「世界最高峰の数学の伝道師・スター」としての評価を得た。