Kagaku to Seibutsu 53(4): 202-204 (2015)
食と腸内細菌代謝産物を介した宿主エネルギー制御機構: 短鎖脂肪酸受容体とエネルギー代謝ネットワーク|木村 郁夫
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=353

短鎖脂肪酸受容体★★GPR41はプロピオン酸,酪酸を主とした短鎖脂肪酸によって活性化★★される細胞内cAMP濃度の抑制を伴うGi/oと共役しているGタンパク共役型受容体(GPCR)である(1).
また,もう一つの短鎖脂肪酸受容体★★GPR43は酢酸とプロピオン酸を主とした短鎖脂肪酸によって活性化★★され,細胞内cAMP濃度の抑制に関与するGi/oと細胞内カルシウム濃度の上昇にかかわるGq/11タンパク質の両方と共役するGPCRである(1).
(中略)
GPR41に関して,腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸により,腸内分泌細胞からの食欲抑制ホルモンPYYの分泌を高めるとの報告(3)がなされていたが,われわれはまず始めに,詳細な発現解析を行った結果,
ほかの組織と比較して★★交感神経節に著しく高発現★★していることがわかった(4).さらにこのGpr41遺伝子欠損マウスは,交感神経系異常に伴う,心拍数の有意な低下および,神経伝達物質であるノルアドレナリンの有意な減少を示した.
また交感神経細胞を用いた実験により,★★短鎖脂肪酸による刺激がGPR41を介してノルアドレナリンの分泌を促進★★することを明らかにした(5).
さらに,これらGPR41を介した短鎖脂肪酸による★★交感神経活性化は,体全体のエネルギー消費量の上昇によく反映★★されていた.
すなわち,GPR41は,交感神経を直接的に制御することによって,生体内のエネルギー状態を認識し,エネルギーバランスを調節することがわかった.
すなわち,食事時,★★短鎖脂肪酸を指標に過剰エネルギーをGPR41が認識し,交感神経を活性化することによってエネルギー消費を高め,エネルギー恒常性を保つ★★というGPR41を介した新たなエネルギー調節機構を明らかにした(4,5)(図1)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=353#figure1