検索ついでにヒットしたのでメモとして貼る
http://www.math.kobe-u.ac.jp/publications/
Publications of Department of Mathematics, Kobe University.
http://www.math.kobe-u.ac.jp/HOME/home-j/rokko.html
Rokko Lectures in Mathematics 既刊リスト
http://www.math.kobe-u.ac.jp/publications/rlm10.pdf
楕円モジュラー関数j(τ)の
フーリエ係数
九州大学数理学研究院
金子 昌信 2001 年 9 月 3 日

まえがき
この講義録は 1998 年 9 月 14 日から 18 日まで, 神戸大学において「楕円モジュ
ラー関数 j(τ) の Fourier 係数」と題して行った集中講義に基いて作られたも
のである.
j(τ) は愛惜措く能わざる対象である

第1章 j(τ)とその2つの係数公式

普通j(τ) (または J(τ))と書かれる「楕円モジュラー関数」は, モジュラー関数
のなかで最も基本的な関数であるといえるだろう. それは上半平面 H = {τ ∈
C|Im(τ) > 0} 上の正則関数であって, H への SL2(Z) の作用に関して不変,
すなわち

q = e^πiτ に関するフーリエ1展開 (q-展開)が
の形を持つ. これらの性質をもつ関数は定数の差を除いて特定できるが, j(τ)
は定数項を 744 として一意に定まる
モジュラー関数というものを
考えるときまず最初に見るべき群は SL2(Z) であろうこと3が, j(τ) を最も基
本的と見做す理由である. そしてその根本たる関数が虚数乗法論における類
体構成やムーンシャイン現象を筆頭として見事な性質を持っている. モジュ
ラー関数としての j(τ)は Dedekind4 の論文5とともに誕生したとすると, ムー
ンシャイン現象の発見はその 100 年後, 以下で述べようとしている係数公式は
約 120 年後の発見であって, 根源的な対象というのはいつまでも古びないとい
うことであろうか.
この講義録では j(τ) のフーリエ係数 cn に焦点をあてて, いくつかの結果を
紹介する. 特に, cn を所謂特異モジュラスと呼ばれる j(τ) の特殊値 (虚数乗法
点での値)により閉じた形 (有限和)に表す数論的公式と, その背後にある理論
について, ある程度詳しく述べることが主たる目標である.

つづく