志村五郎の言う理想の解析学の教科書について考える。以下引用。


解析学を教えるとしたら、あるいは教科書を書くとしたら注意すべき点がいくつかある。

1. Lebesgue積分を入れる。ただし[使, §9]の方針でやる。 (*1)
2. 多変数の積分を微分形式を入れて論じる。
3. 常微分方程式の解の存在定理を入れる。
4. Fourier級数だけでなくFourier変換を入れる。つまり

f → f^, f^(x) = ∫_R e(-xy)f(y) dy (*2)

を考える。
5. 複素解析とこれらを融合させる。そして∂/∂z, ∂/∂z~, dz, dz~を使う。
6. 具体的な関数, つまり楕円関数, ゼータ関数などを論じる。

すでにこれらの事は前著三冊 (*3)に注意したが、ここでもう一度まとめてみた。証明なしで定義、定理、実例だけのあまり厚くなき本であってもよく、それを誰かが書けばよいと思う。

志村五郎「数学をいかに教えるか」(p072-073)

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(*1) Lebesgue積分を論ずるやり方には大体三通りある。

1. 実直線R上だけでやる。
2. 一般の測度空間で始めるが、それはR^nでの積分をやるための手段で結局それだけになる。
3. 一般の測度空間で、R^nももちろんやるが、最後まで定理をできるだけ一般の場合に証明する。

どれがよいかと言うと、3が一番よい。

志村五郎「数学をいかに使うか」(p113)


(*2) e(z) = exp(2πiz)

(*3) 「数学をいかに使うか」「数学の好きな人のために」「数学で何が重要か」