>>393 追加引用
http://hep1.c.u-tokyo.ac.jp/~kazama/gaugesym(suuri-kagaku).pdf
「ゲージ対称性と現代物理学」、数理科学・2001年5月号(PDF)

6.2超弦理論とゲージ対称性
超重力理論の不完全性が明らかになり始めた頃から,
それに代わって急速に発展してきたのが,完全に有限
な理論であると考えられている「超弦理論*14 」(超対
称性を備えた弦理論)である.この理論はこれまで述
べてきた場の理論とは根本的に異なる構造を持つが,
ここでもまたゲージ対称性は理論構成の根幹をなして
いる.以下では,ケージ対称性がそこでどのよう宏形
で現れ,いかに重要な役割を果たしているかに焦点を
絞って述べることにしよう.

図1のような弦の「結合」と「分裂」というたっ
た2種類の基本的なプロセスとして理解することを可
能にする.例えばヤン・ミルズゲージ場は開弦の,ま
た重力場は閉弦の,それぞれ最も軽い(短い)モード
として,その相互作用も含めて自然に実現される.し
かも,超弦理論においては弦の本質的な拡がりと超対
称性のため,無限大の困難が回避される.すなわち,
閉弦を含む超弦理論は,重力までも統一した有限な量
子力学理論という画期的な性質を持つ現在のところ唯
一の理論なのである*'6).

こうした弦理論の整合性を支えているのは,無限個
の場の間に働く無限に大きなゲージ対称性の存在であ
る.量子電気力学(QED)の項で,ゲージ対称性が負
の確率を持つ状態を除去することを述べたが,弦理論
に現れる無限個の場の中には電磁場を拡張したような
無限個の場が存在し,巨大なケージ対称性のおかげで
それらの中の確率解釈を危うくする成分が巧妙に取り
除かれる仕組みになっている.ゲージ対称性は相対論
的な弦理論の存在にとってまさに命綱なのである.

このようなゲージ理論の無限集合体とでもいうべき
超弦理論の研究は,1995年頃を境に質的に新しい段階
に入ったのだが,そこでゲージ対称性を実現する新し
いシステムとして注目されている「D-brane」と呼ば
れる物体の多体系について触れておこう.一言でいえ
ば, D-braneとは開弦の端点がつきうる面状の配位で
あり,そのあるものはブラックホールの性質を持つと
いう注目すべき物体である.図2はN枚のD-brane
が開弦を介して相互作用している様子を模式的に描い
たものである.

つづく