つづき

https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kenkyubu/kokai-koza/H18-tamagawa.pdf
数学入門公開講座テキスト(京都大学数理解析研究所,平成18年)
ガロア理論とその発展 玉川安騎男

環の典型的な現れ方として、与えられた空間Xの上の(適当な条件を満たす)関数全体のなす環があります。この場合、関数の値の和、差、積を考えることにより、関数の和、差、積を定義します。(1,0は、それぞれ恒等的に値1,0を取る関数として定義します。)
実は、任意の環はこのようにして得られることが知られています。
より正確に言うと、与えられた環Rに対し、アフィンスキームと呼ばれるある種の空間Spec(R)が定まり、Rは空間Spec(R) 上の正則関数全体のなす環と自然に同一視されます。更に、環を考えることとアフィンスキームを考えることは本質的に同等であることが知られています。一般のスキームは、アフィンスキームをはり合わせることにより定義されます。
1950年代後半にグロタンディークによって定義されたこのスキームは、代数多様体(≈多項式で定義される図形)の概念を大きく一般化するもので、現在の代数幾何学・数論幾何学の基礎をなす概念です。

グロタンディークの提唱した形での遠アーベル幾何は、遠アーベルスキームの一般的な定義が見つかっていないなど、理論的にはまだまだ発展途上の状態ですが、既にいくつもの重要な結果が得られています。例えば、ノイキルヒ・内田の定理は、(グロタンディークが遠アーベル幾何を提唱する以前の結果ですが)遠アーベル幾何における一つの基本的な結果となっています。また、近年では、代数曲線やそのモジュライ空間の遠アーベル幾何の研究が、(本研究所を中心に)さまざまな角度から進められ、興味深い結果がいくつも得られています。このように、19世紀前半に生まれたガロア理論は、現代もなお強い生命力を持って進化しています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku1947/34/1/34_1_1/_pdf/-char/en
論説 数学 (1981年9月14日提出)*1981年4月5日京都大学における第9回日本数学会彌永賞受賞講演
ソリトン方程式とKac-Moodyリー環 柏原 正樹*神保 道夫 伊達 悦朗 三輪 哲二
§1.序
代数方程式の研究に,解の変換群の概念を導入し,その有効性を示したのはGaloisである.こ
のGaloisの視点を,微分方程式に適用する試みの中から,リー群,リー環の概念は生まれた.線
型微分方程式を,この立場で研究するものとして,Picard-Vessiot理論があり,そこに現われる群
は,有限次元Lie群である.有限次元半単純リー環の研究における, Cartan行列を基礎におく理
論構成を一般化して,Kac-Moobyリー環と呼ばれる,無限次元リー環の概念が生まれた([IY 38],
[IY 68],[40])1).ほぼ同じ頃,ソリトン理論が,その姿を現わしつつあった.ソリトン理論にあら
われる非線型方程式(以下,ソリトン方程式と呼ぶ)は,線型方程式系の可積分条件として表わされ
るという側面をもつ.本稿では,ソリトン方程式の解の変換群を考察し,ある種のソリトン方程式
の変換群のリー環として,Euclid型リー環と呼ばれるKac-Moodyリー環が現われることを示す.

つづく