ふむふむ
https://www.asahi.com/articles/AST491DVWT49PLBJ001M.html
ロールケーキが数学の扉を開いた 「伝説の人」森重文さんの数学観
聞き手 石倉徹也20250622 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20250409001881.html
数学者の森重文さん。1990年にフィールズ賞を受賞。専門は代数幾何=2025年2月、京都市左京区、石倉徹也撮影

――森さんは小学生の頃から数学が得意でしたか。
 普通のタイプでしたよ。親が共働きだったので、放課後は学習塾に通っていましたが、テストで上位に入るような生徒ではなかった
 ある日、塾の先生が数学の問題を出し、「解けたらロールケーキをあげるよ」と言いました。食い意地が出たのか、がんばったら解けた。しかも自分だけ。先生や両親からすごく褒められ、算数にちょっと自信を持ちました

 ――森さんと言えば、高校生の時の話は有名です。数学雑誌「大学への数学*」の学力コンテストで毎回ほぼ満点の「伝説の人」でした
 数学が面白くて仕方がなかったです。それまで歯が立たなかった問題が、見方を変えるとさらっと解ける。図形の問題は補助線を引けば一発で解ける。そういうひらめきの快感です

 ――数学の道へ進もうと思ったのはいつですか
 高校生の時、「数学入門」(遠山啓著)という本を読み、円周率πや自然対数の底eは、超越数*であると知りました
なぜだろうと思い、学校の図書館を探し回ると「初等幾何学」(https://dl.ndl.go.jp/pid/930885/1/299別ウインドウで開きます)という本に証明が出ていました
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20250414001579.html
 大正時代に書かれた本で、本文がカタカナという古い文体で書かれていて読みにくいけれど、何回か読むとわかった。古臭い証明かと思いきや、証明はみずみずしく、感動したのを今でも覚えています。もっと数学を勉強したいと思いました。ところで大学では何を?
 ――私は物理学です。

物理では、数式を使って事実や現象を説明できれば正しいとみなしますよね。でも私からみると、それは証明ではないので気持ち悪いです。なぜそういう現象が起こるのか。数学ではそのレベルでわかる。

 ――わかったという判断が、物理と数学では違いますね
 どっちが上とか下とかではないけど、私は数学の腑(ふ)に落ちる感じが好きですね

大学院の試験途中に実家へ帰った
 ――研究は大学の研究室で?
 若い頃は、喫茶店や散歩中に考えることが多かったです。一日中考えますが、真夜中にできたと思ったらひらめいたことをメモし、そこでやめてハッピーな気持ちで眠る。翌朝チェックして「しまった」という失敗は何度もあります。研究室の机の前に座るのは、問題が解けた後に論文を書くときくらいでした

 ――数学の道に進むことに迷いはありませんでしたか?
 京都大4年の時かな。京大大学院に入るための筆記試験を受けましたが、研究者になれるか不安になり、口頭試験の前日に実家のある名古屋へ帰りました。数学は証明できないと論文にはならない。そんな苦しさやプレッシャーに耐えられるだろうかと悩んでしまった

 ――どうなりましたか
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