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「数学って実は汚かったんだ」AIの登場で2500年続いた数学の見方が変わる理由とは?《ブンゲン先生が解説》
『数の進化論』より #3
加藤 文元 2025/04/18

「なんで数学をしなきゃいけないんだろう」「数学をやってなんのためになるんだろう」と怒りにも似た問いをかけるド文系編集者に、数学者はどう答えるのでしょうか。

 ここでは、『数の進化論』(文春新書)から一部を抜粋。「チャート式」の監修や『数学の世界史』など多数の著書で数学の魅力を広め続ける“ブンゲン先生”こと加藤文元氏(ZEN大学教授、東京工業大学(現・東京科学大学)名誉教授)が解説します。(全3回の3回目/もっと読む)

数学も「シュレーディンガーの猫」に?

数学にはかなりのパラダイム変換が起こる

機械学習による“ブラックボックス”化

モラルハザードはすでに始まっている
編 話を聞いていると、今までの価値観が崩壊しそうです。

文 “モラルハザード”はすでに始まっていますよ。まあ、そもそも論証的な数学なんて、2500年くらいの歴史しかもっていませんから。トロイア戦争よりも後と考えると、わりと新しく感じますよね。古代ギリシャ人たちが証明による論証数学をローカルに始めたのが、「意外といいじゃん!」みたいな形でウケてしまって全世界に広がり、様々な紆余曲折はあったけれども2500年間も栄えた。

 その数学が現在、転換点に立っているというだけの話です。3000年後の人間が振り返ると、「今の数学って、第二次世界大戦とか、あの頃にできたらしいよ」「えっ、そんな新しいものだったの?」みたいな話をするかもしれません。

来るべき数学の汚さの時代に向けて

編 がーん! ここまで数学の神秘性や美しさについてさんざん話をしてきたのに、最後にこの仕打ちですか。
文 甘いですね……世の中っていうのはもっと汚いものなんだよ……。まあ、だからといって、「一意的な答えが出る」という意味での数学が損なわれるわけではありません。たまたまであったとしても、正しさというものの崇高さは崩れない。そうした価値の、数学全体のなかでの位置づけが変わるだけです。

 我々は来たるべき数学の汚さの時代に向けて、気持ちを準備しておくべきです。「数学って実は汚かったんだ。でもそのなかには、美しいものもあるんだ」くらいに思っておくのがいいかもしれません。