つづき

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数学通信第15巻第2号目次 2010
高木貞治に見る数学思想の変遷 足立 恒雄 6
https://www.mathsoc.jp/publication/tushin/1502/1502adachi.pdf
高木貞治に見る数学思想の変遷
足立恒雄(早稲田大学理工学術院)
1 初めに
高木貞治(1875-1960)は若いころから数体系の基礎付けに関心が深かった.

5.3 19世紀末の自然数論
フレーゲの論理哲学を理解する能力は私にはないが,数学に対する貢献という観点に絞るなら,フレーゲは現代の数学を支える述語論理の創始者であると同時にその事実上の完成者であるということができる.フレーゲの論理学は現今の言葉で言えば,2階述語論理である.(しかし当時は1階も2階もなかった.)
5. フレーゲの著作『算術の基本法則』第II巻が完結したちょうどそのときラッセルからその名を冠した有名なパラドクスの知らせが届いたため,歴史的にはフレーゲは偉大な失敗者であるとみなされてきたが,1980年代に入ってフレーゲの算術上の仕事の研究が進み,大いにその名誉は回復された.
基数原理]P =]Q⇐⇒ P ≈Q
(ここにP ≈QはPなるxの全体とQなるyの全体が1対1に対応することを意味する.)によって導入し公理として置くと,2階述語論理によって,自然数論が展開できる.
6. 基数原理と2階述語論理の組み合わせは「フレーゲ算術FA」と呼ばれている.

8.1『数学雑談』の自然数論『数学雑談』ではランダウの『解析学の基礎』(1929)に基づき自然数論を展開している.すなわち次の通り:
略す

10.2 高木による連続体の特徴付け(最終形)高木は「技巧的なる可附番を払拭」するとして次を提唱する:IIIa.(最小性)連続かつ無限界なる線型順序集合はすべてLと同型なる部分集合を持つ.これが高木による連続体,実直線,実数体の特徴付け(=公理系)の最終形であった.
(まとめ)
『数の概念』における数体系の基礎付けは,西洋の数学に50年遅れた状態から出発した高木の(ということは,つまり日本の)数学がその後50年かけてどのように発展したか,その到達点を示すものとして意義が深く,またその思想性,独創性という観点からも高く評価できる
(引用終り)
以上