>>434 追加
ホイヨ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46002240S9A610C1EE9000/
三菱UFJ 「数学思考」で解くデジタル戦略
メガバンカーズ(3) 日経
2019年6月16日 [会員限定記事]
「銀行業の枠を超える」
4月19日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)副社長の亀沢宏規(57)はひな壇の上にいた

理系出身者
「亀ちゃん」。社長の三毛兼承(62)が親しみを込めてこう呼ぶ亀沢はチーフ・デジタル・トランスフォーメーション・オフィサー(CDTO)の肩書を持つ。金融とIT(情報技術)が融合するフィンテックに侵され始めたメガバンクの対抗馬だ。

デジタル社会に挑むバンカーは学生時代、数学を学んだ理系の出身者だ。MUFGで過去に理系のトップが生まれたことはない。既存の銀行ビジネスを崩すデジタル化の流れの中で理系出身者が事業の責任者になったのは、銀行経営の転機を映す。

そんな異色のバンカーは、友人と数学論議に熱中する人懐こい少年だった。

手を使って解く
窓の外にヤシ科の木々が揺れる教室で、少年はノートの上でしきりに手を動かしていた。

「計算機よりも、手を使って式を書いて解くほうが美しいよね」。生徒の中心にいた少年はひときわ熱心だった。宮崎県立宮崎西高校。理数科にいた亀沢は、ずばぬけた能力を持つ数学少年だった。

同校は毎年、5〜10人程度の東大合格者を出す進学校だ。だが、創立は1974年と新しい。宮崎県が全国に通用する高等教育を進めようとして設け、理系教育に力を入れた。亀沢が入った当時、同校はできて間もない新設校だった。

あまりにも勉強熱心
当時、理数科の教諭だった永友忠昭(81)は生徒たちの姿に度肝を抜かれた。「あまりにも勉強熱心だ」
新設校に集まった子どもたちは、永友が図書室に置いた「解析概論」を見ながらひっきりなしに議論していた
本来、大学で微積分を使った解析を教えるためのものだ

中でも亀沢は1年生のときから、2、3年生の内容を自ら先取りして勉強していた。学校のカリキュラムを置いてきぼりにする。そんな亀沢を当時の同級生はこう振り返る。

「ずばぬけた天性の数学のセンス」「頭脳明晰(めいせき)なのに常識人。珍しい人柄」「彼を悪く言う人はいなかった」

専門は整数論
同校を80年に卒業した亀沢は現役で東京大に進む。専攻は理学部数学科で、大学院まで進んだ。専門は整数論。2、3、5、7、11、13…。これ以上割ることのできない素数の存在に魅了された。「原子や分子のように数学の世界を構成する基礎なのに、なぜバラバラに不規則に存在するのか。誰がこれを決めたのか」

そんな青年が、なぜか銀行に入る。そこには数学を使うのではなく、数学の真理と向き合う決断があった。

美しさにひかれた
メーカーに就職し、特定の商品に携わり続けることは「一般化」とは違う気がした。世界を一般化することに興味を感じた亀沢にとって、銀行は格好の舞台に見えた。

昨年の社内報が当時の亀沢の思いを映し出している。「数学がどう使えるかということよりも、数学の理論の美しさにひかれた」
つづく