つづき

私自身、2010年〜2011年頃、[IUTchIV]§3を執筆したとき、species/mutationは、特に難しい話でもなく、取り立てて新奇性のある話でもなく、多くの数学者が当たり前に脳内で無意識のうちにこなしている処理を、(同様の概念が明示的に記述されている適切な文献が見付からなかったために)ただ自分で明示的に記述してみただけのものに過ぎないという認識でした 略

一方で、species/mutationの、Leanによる形式化の可能性について調べ始めた途端、全く想定外の展開に見舞われてしまいました。まず、species/mutationの定義では、集合論的な(=つまり、いわゆるZFCの)論理式が非常に中心的な役割を果たしますが、これまでのLeanの標準とされているライブラリMathLibでは、ZFCモデル(=つまり、標準的な集合論のモデル)は用意されているため、特定の集合に対する特定の論理式をLean上で扱うことが可能となっていますが、一方で、species/mutationの理論において本質的な役割を果たす「不定元のような論理式」(=特定されていない、「とある論理式Φ」のようなもの)を扱うには、一階述語理論としてのZFCが必要であり、それはMathLib上ではまだ掲載されていないということが判明しました。
略
(引用終り)
以上