つづき

右側はk の絶対ガロア群であり,左側については前小節からある程度分かっている.このとき,真ん中の群(および右の群への射)からXをどれだけ復元できるか?という問題を考えることができる.一般に,基本群からもとの図形の情報をどれだけ復元できるか,という問題を扱うのが遠アーベル幾何学(anabelian geometry) である.これが有効である対象を遠アーベル (anabelian) であるという……というのは厳密な定義にはなっていないが,1次元の場合は諸々の結果を見るに双曲的曲線(2g−2+r>0を満たす曲線)がそれにあたる
(あたらないのは(g,r)=(0,0),(0,1),(0,2),(1,0)すなわちP1, A1, A1 引く一点,楕円曲線の場合)と考えられる.
遠アーベル幾何は宇宙際タイヒミュラー理論 *70において重要な役割を果たす.
というのは,宇宙際タイヒミュラー理論においては文字通り*71複数の宇宙*72の間を行き来することになるが,
そのときに環論的な対象の性質はそこまで保たれないのに対し基本群のような群論的な対象の性質はよく保たれる*73からである*74.

*70 abc 予想という分かりやすい(?)予想への応用があることから一般社会でも話題になりました.
*71 「国際 (inter national)」が複数の国の間の行き来や関係をいうように.
*72 むろん数学用語としての宇宙である.
*73 という印象を受けました.
*74 という印象を受けました.
(引用終り)