>>810のつづき

NBGがZFCの保存拡大である理由
NBGがZFCの保存拡大であるという主張を、以下のポイントで説明します:
(1) ZFCの公理はNBGでも成り立つ
NBGの公理系は、ZFCの公理をほとんどそのまま含んでいます。
具体的には:ZFCの公理(例:空集合公理、対の公理、選択公理など)は、NBGでも集合に対して適用可能です。
NBGでは、クラスの概念を追加していますが、クラスの操作に関する公理は、ZFCの集合に関する公理と矛盾しません。
たとえば、NBGの「制限公理」は、集合として定義可能なクラスは集合そのものであると保証し、ZFCとの整合性を保ちます。

(2) モデルの拡張
ZFCのモデル(例えば、Vκ という階層的な集合宇宙)を考えたとき、
これをNBGのモデルに拡張できます。具体的には:
ZFCのモデル内の「集合」をNBGの「集合」として扱い、
ZFCのモデル内で定義可能な「述語」(例えば、集合の部分集合を特徴づけるもの)を
NBGの「クラス」として解釈します。
この拡張により、ZFCのモデルはNBGのモデルに「埋め込める」ため、
NBGはZFCの構造を保存します。

(3) 証明の保存
NBGで証明可能な命題のうち、ZFCの言語(集合と∈のみで記述される文)に制限したものは、ZFCでも証明可能です。
これは次の事実によります:
NBGの追加公理(クラスに関するもの)は、ZFCの言語では新たな命題を主張しないか、
またはZFCのモデル内で「真」と解釈可能な形に制限されます。
例えば、NBGで「すべての集合のクラス ( V ) が存在する」と言っても、
これはZFCの言語では単なる定義的な記述に還元され、ZFCと矛盾しません。

(4) 有限公理化の違い
NBGの大きな特徴の一つは、ZFCと異なり有限公理化が可能な点です。
ZFCでは「置換公理」が無限個の公理スキーマとして記述されるのに対し、
NBGではクラスを用いることでこれを単一の公理に置き換えられます。
この点でNBGはZFCを「簡潔に」拡張した形と言えますが、
ZFCの論理的力を超えるものではありません。

(つづく)