アーベルとヤコービは楕円積分の加法定理から複素変
数の楕円関数を構成し、その性質を詳しく調べました。
彼らのこの仕事もコーシーの関数論と同様に、最初は定積分の計算
結果の基礎の上に、複素平面上の長方形上の関数を調べるところから
始まりました。
留数定理において長方形が単純閉曲線(たち)に置き換
わったような変化が楕円関数の場合にもありました。この変化はより
大規模なもので、それ以後の数学全体に影響を及ぼすものでもありま
した。端的には、楕円関数の場合、長方形はまず平行四辺形に、そして「複
素トーラス」。「リーマン面」、そして「複素多様体」へと一般化され
たのです。